妖精さんの独り言 4−1
今日は秋分。コークリエイティブ・ガーデニングのミシェルさんの話しでは、畑の「新年」は「秋分の日」なのだとか?! まあ、雲風農園の妖精さんからも、なぜか「21日に大根や蕪の種を播け!」という指令が出ていますが、深い意味でもエネルギーが切り替わる日なのでしょう。
さて今回は、「独り言」というよりは、妖精さんの読書ノートみたいな感じです。農業関連あるいは妖精関連の怪しい本? から、怪しい話を引っ張ってきて、紹介してみようという試みです。まあ、「怪しい」とは言っても、現代の常識、科学のドグマから見れば「怪しい」というだけで、一昔前は当たり前だったり、先住民族の文化においては当たり前だったりするものなんですが。
1.『アーバン・シャーマン』(サージ・カヒリ・キング著)
最初に紹介するのは、ハワイのシャーマン(呪術師)、サージ・カヒリ・キングという方の著書『アーバン・シャーマン』(ヴォイス刊)から、「グロッキング」という技法についての文章を引きます。本のタイトルの意味は、要するに「アーバン=都市」で「シャーマン=呪術師」として生きるには、どうしたらいいのか? ということです。まあ「シャーマン」は「呪術師」と訳されることが多いのですが、人を呪ったりするのは「黒魔術師」で、もともとの「シャーマン」は、変成意識状態に入って、自然あるいは自然の精霊と会話して、病気を治したり、問題を解決したり、新しいものを創造したりする役割を果たしてきました。
その「シャーマン」の基本的な技法が「グロッキング」ですが、これは日本語で言えば、「相手(対象)の身になる」ということになります。文字通り相手の「身」に入り込んで、相手を理解した上で、自分のあり方やパターンを変化させることによって、相手を変化させて、相手を助けたり、自分と相手の関係性を変えたりする・・・というテクニックです。「相手を変えようと思う前に、自分を変えよ」みたいな警句もありますが、その本質的な意味を指しているのかもしれません。
(以下引用)
グロッキング
シャーマンの術を実用的に使うのが本書の目的だから、クリケ(ものまね)をヒーリングに利用する方法を教えよう。クリケには四つの段階がある。
1.コピーする 環境にあるパターンを意図せずして取り入れる。
2.模倣する 本人の安全と成長のために、環境にあるパターンを意図的に取り入れる。
3.役を演じる 人びとに影響を与えるため、環境と本人の意識内にあるパターンを意図的にとり入れる。
4.なる 本人が変わるため、環境と本人の意識内にあるパターンを意図的にとり入れる。神秘家たちが使うのはこれである。
本書の目的からすれば、3と4の中間あたりを使えるようになりたい。「私は○○である」と思えるくらいまで「○○」のパターンをとり入れ、その自分がふるまいを変えることで○○の振る舞いも変わるくらい○○と共鳴したいのだ。しかし、意志の力でもとの姿に戻れるくらいは自分本来のパターンをどこかに記憶しておかねばならない。この微妙な段階を、私は「グロッキング」と呼んでいる。この言葉はロバート・ハインラインの著書「不思議の国の旅人」(Robert Heinlein “Stranger in a Strange Land”)よりの引用である。この本の主人公は「もの」のパターンと融合してそれを内面から理解し、意志の力でそれを内面から変える能力がある。
グロッキングで大切なのは、グロッキングしている最中にも本来の姿と目的を忘れないことだ。「1パーセントを残すシャーマン」と覚えておこう。どれほど深くグロッキングしても、1パーセント(文字通りの1パーセントでなくともいい)の自己認識は残しておく。私たちがグロッキングする目的はヒーリングだ。あなたがいまにも枯れそうな木に百パーセントのグロッキングをしたとしよう。あなたは自分が枯れ木のように感じてヒーリングどころではなくなる。ちなみに、このような場合でもあなたが枯れ木に変身するわけではないので心配はいらない。何もできないうちにわれに返るか、眠り込んだあとで自然に目が覚める。「もの」のパターンを完全に変えるためには、意識レベルで働きかける高等技術が求められるが、この技術を習得した者は少ない。
ではグロッキングの手順だ。
1 目を閉じる。
2 エネルギーを高める。
3 自分のスピリット・ボディ(霊体)に入る。
4 グロッキングする対象と融合する。
5 その場にふさわしい処置を考える。
6 自分のふるまいを変える。
7 グロッキングした対象から抜けて自分のスピリット・ボディに戻り、さらに肉体に戻る。
目を閉じるのは気を散らさないためだ。慣れれば目を開けていてもグロッキングできる。エネルギーを高める方法としては、深呼吸しながら「愛の光」を感じるのもいい。ドリーム・ボディに入る要領でスピリット・ボディに入る。ただ、スピリット・ボディをイメージするときは純粋な光またはエネルギーで満ちた無限に広がる球体として思い描こう。肉体を超えて見えない体が広がっていると思えばいい。いつもながら、「見る」よりも「感じる」ほうが大切だ。融合するときは、あなたのスピリット・ボディが「それ」の霊的、精神的(思考的)、感情的、物理的(肉体的)なパターンとひとつになるのをイメージする。「それ」の感覚を感じることはここでも大切だ。
「それ」へ、ある意味で「無条件の愛」を感じられればうまくグロッキングできる。批判的な態度があると融合しにくい。「それ」とあなたの間にみぞができるから、グロッキング度も低くなる。融合したあとは、あなたの感覚をチェックしながら、「それ」を変えることがふさわしいか判断する。「これを変えるのはふさわしくない」と感じても、それは怖れではない。うまくグロッキングできていれば、その場にふさわしいことが感覚としてわかる。自己認識を残しつつできるだけ融合したら、あなたが「それ」であるかのごとく、あなたのふるまいを変える。これはたいていイメージのなかで行なうが、人によってはグロッキングを保ちながら本人の肉体も使える。するべきことをしたら、「それ」から抜け出て自分のスピリット・ボディへ戻るイメージをして、さらに肉体に戻る。(前掲書 p.181−184)